あがり症は薬で改善できる?作用メカニズムを医療視点で解説
監修:医師・薬剤師監修
こうした「いわゆるあがり症」に悩む人は少なくありません。
重要な場面ほど症状が強く出るため、仕事や日常生活に影響を及ぼすこともあります。
あがり症は性格の問題と捉えられがちですが、医療的には自律神経や脳内の神経伝達物質が深く関与しています。
そのため、条件によっては薬によるアプローチが選択肢となる場合があります。
本記事では、医師・薬剤師の視点から、あがり症に薬がどのように関わるのか、作用メカニズムを中心に解説します。
あがり症とはどのような状態か
あがり症とは、正式な医学用語ではありませんが、人前での発表や面接、試験など特定の状況下で強い緊張や不安が生じ、
身体症状が目立つ状態を指すことが一般的です。
代表的な症状には、動悸、息苦しさ、発汗、手の震え、声の震え、頭が真っ白になる感覚などがあります。
これらは「交感神経」が過剰に優位になることで起こります。
なぜ強い緊張が体に出るのか
人は危険やプレッシャーを感じると、自律神経のうち交感神経が活発になります。
これは本来、身を守るための正常な反応です。
心拍数が上がり、血圧が上昇し、筋肉が緊張することで、行動に備えます。
あがり症の場合、この反応が必要以上に強く出てしまい、実際には危険がない場面でも身体が「危機的状況」と誤認してしまう状態と考えられています。
あがり症に使われる薬の考え方
あがり症に対して用いられる薬は、「緊張そのものを消す」というよりも、過剰な身体反応を抑えることを目的としています。
主に自律神経や脳内の神経伝達物質の働きに作用することで、動悸や震えなどの症状を和らげます。
代表的なアプローチとしては、交感神経の働きを穏やかにする作用や、不安感を増幅させる信号を弱める作用が挙げられます。
これにより、「緊張しているがコントロールできる」状態を目指します。
薬が効果を発揮しやすいケース
あがり症のすべてが薬で改善するわけではありませんが、次のようなケースでは薬の影響を実感しやすいとされています。
- 動悸や震えなど身体症状が強く出る
- 特定の場面(発表・面接など)で症状が集中する
- 緊張すると頭が真っ白になりやすい
逆に、長期間にわたる不安感や日常的な不安が強い場合は、薬だけでなく考え方や環境調整を含めた多角的な対応が重要になることがあります。
副作用や注意点について
あがり症に用いられる薬は、比較的少量で使用されることが多いものの体質や状況によっては眠気、だるさ、血圧変動などを感じることがあります。
また、他の薬を使用している場合は影響を受ける可能性もあります。
「緊張しないようにするために無理に使う」のではなく、作用の仕組みとリスクを理解したうえで選択する視点が大切です。
まとめ|薬は選択肢のひとつ
あがり症は、気持ちの弱さではなく、自律神経や脳の働きが関与する生理的な反応が大きく影響しています。
薬は、その過剰な反応を一時的に和らげる手段として位置づけられます。
すべての人に必要なものではありませんが、仕組みを理解したうえで検討することで「緊張に振り回されない状態」を作る助けになる場合があります。
正しい知識を持つことが、安心して選択する第一歩といえるでしょう。

