医師監修:利尿剤の併用NG薬一覧
監修:医師・薬剤師監修
はじめに
むくみ、高血圧、心不全などの治療に使われる「利尿剤」。余分な水分とナトリウムを排出することで症状を改善しますが、実は併用してはいけない薬(併用注意薬)が多いことでも知られています。組み合わせを誤ると、脱水、腎機能低下、電解質異常などの重大な副作用が起こることがあるため注意が必要です。
今回の記事では、医師・薬剤師の視点から、利尿剤と併用してはいけない薬、避けた方が良い薬の一覧と、実際の体験談を交えてわかりやすく解説します。
利尿剤の種類と特徴
利尿剤には大きく分けて以下の種類があります。
- ループ利尿薬(ラシックス・フロセミド):強力で即効性が高い
- サイアザイド系利尿薬:高血圧治療にも使われる
- カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトンなど):カリウムが下がりにくい
それぞれ作用が異なるため、併用NG薬も変わります。
併用NG薬① ACE阻害薬・ARB(降圧薬)
高血圧の治療で用いられる薬で、「血圧を下げすぎる」「腎機能の低下」「高カリウム血症」を起こす可能性があります。
- リシノプリル
- カンデサルタン
- バルサルタン など
特にスピロノラクトンとの併用は高カリウム血症のリスクが高まります。
併用NG薬② NSAIDs(痛み止め)
市販されている痛み止めにも含まれる成分で、腎臓の血流を悪くし、利尿剤の効果を低下させます。
- ロキソニン
- イブプロフェン
- ジクロフェナク
むくみ改善どころか逆効果になることもあるため注意が必要です。
併用NG薬③ 心臓の薬(ジゴキシン)
ループ利尿薬はカリウムを下げるため、ジゴキシンの副作用が出やすくなります。
- 不整脈
- 吐き気
- 視覚異常
この組み合わせは医師の厳格な管理下でのみ使用されます。
併用NG薬④ リチウム(精神科薬)
利尿剤によりリチウムの血中濃度が急上昇し、中毒状態になる危険があります。
- 動作のぎこちなさ
- ふらつき
- 意識障害
併用NG薬⑤ 抗生物質(アミノグリコシド系)
腎臓に負担をかけるため、腎障害のリスクが上昇します。
実際の体験談:NG薬を併用してしまったケース
● ケース:30代女性(ラシックス使用)
むくみ改善のためにラシックスを服用中、頭痛で市販のイブプロフェンを飲んだところ、翌日からむくみが悪化。尿量が減ったため受診したところ、「利尿剤とNSAIDsの併用が原因」と判明。薬を中止し、数日で改善しました。
● 学びポイント
- 市販薬でも併用NGになる
- 自己判断は危険
- むくみが悪化したらすぐに医療機関へ
利尿剤を安全に使うためのポイント
- 必ず医師・薬剤師に「併用薬」を伝える
- 市販薬も自己判断で飲まない
- 脱水症状に注意し、こまめな水分補給を行う
- むくみが悪化したらすぐにチェック
まとめ
利尿剤はむくみ・高血圧・心不全などに大きな効果がありますが、薬の組み合わせを誤ると重大な副作用を引き起こす可能性があります。特にNSAIDsや降圧薬は日常的に使用される薬のため、併用には細心の注意が必要です。
不安がある場合は必ず医師・薬剤師に相談し、安全に治療を進めましょう。
本記事は一般的な医療知識および臨床情報に基づいて作成しています。薬の併用や変更を行う際は、必ず医師・薬剤師に相談してください。

